月刊『ザ・フナイ』2008年7月号掲載
世界で初めて大量培養を成功させた、株式会社ユーグレナ代表取締役社長出雲充氏による「一石三鳥を目指す」が掲載されました。
東京大学農学部を卒業後、ユーグレナ社を設立し東京大学キャンパス内に本社と研究所を構える産学連携ベンチャーで、食糧問題と環境問題の解決を目指されています。
ユーグレナは一石三鳥を目指す
株式会社ユーグレナ 代表取締役社長 出雲 充
・ 異常な状態にある地球環境
・ 初海外旅行はバングラデシュ
・ スーパー微生物「ユーグレナ」
・ 出会いと約束
・ 株式会社ユーグレナを設立
・ 一石三鳥計画
・ 環境問題と食糧問題の解決のために
2008年9月17日付け 産經新聞 夕刊より転載
世界規模で直面している地球温暖化と食糧危機への手だてとして、ミドリムシを活用する研究が進んでいる。原生動物でありながら、光合成をするミドリムシは二酸化炭素(CO2)の固定効率が高いだけでなく、人間に必要な栄養素のほとんどを作り出せる。東京のベンチャー企業が大量培養に乗り出したほか、大阪の老舗昆布店は高い栄養価に着目、食品への応用に向け研究を続けている。
ミドリムシは学名を「ユーグレナ」といい、水田などの淡水に生息。30ミクロン~50ミクロンで尻尾のような鞭毛を動かして運動する一方、葉緑素を持ち光合成を行う。地球上で唯一の動物と植物の中間的微生物だ。
「これほど環境浄化に優れた生物はいない」と話すのは、約30年ミドリムシを研究している甲子園大栄養学部教授(生物化学)で、大阪府立大名誉教授の中野長久(64)。中野氏によると、光合成にようるCO2の固定効率は、イネが0.7%、トウモロコシが1.5%に対し、ミドリムシは30%。炭素濃度が高ければ固定効率はさらにあがり「25%のCO2が含まれる鉄工所の排煙なら固定効率は78%になる」という。
約5年前には電力会社と共同研究を実施。50万キロワットの火力発電所が1日に出すCO2約4300㌧をミドリムシに吸収させるには縦横800㍍の巨大水槽で培養する必要があることを弾き出した。ただ、実際に水槽を作り、維持管理するには1000億円以上の費用がかかることから、実用化は見送られた。
ミドリムシの特徴はCO固定効率だけではない。水や栄養塩、太陽光とCO2だけで、必須アミノ酸や必須脂肪酸、ビタミン、ミネラルなど人間に必要な栄養素のほとんどを作り出すことができる。仮に実用化が見送られた巨大水槽でミドリムシを培養、乾燥させた場合、1日に5000㌧、カロリー換算では19万人分以上の食料の生産が可能になるという。中野氏は大阪府立大の研究メンバーとともに乾燥させたミドリムシ入りのクッキーを開発した。
こうしたなか、ミドリムシの培養に本腰をいれる企業も現れた。3年前、東京のベンチャー企業「ユーグレナ」が大阪府立大や東大、近畿大などと連携し、沖縄県・石垣島で屋外大量培養に成功。同社は「排出権取引ビジネスにも応用できる」と期待を寄せる。
一方、高い栄養価に着目したのは、大阪の老舗昆布店。ユーグレナ社からの協力を受け、自社の塩昆布にミドリムシの栄養成分を溶け込ませた新商品サプリメント(栄養補助食品)の開発に挑戦している。
2008年12月23日琉球新報より配信
二酸化炭素の排出量取引と国内クレジット制度の普及に関するセミナーが22日午後、那覇市の沖縄産業支援センターで開かれた。温暖化防止対策に取り組むユーグレナ(東京都、出雲充社長)が、藻類のユーグレナによる二酸化炭素削減効果を確認する実証実験を、来年1月上旬から2月上旬にかけ、沖縄電力の協力を得て金武火力発電所で実施すると報告した。
石垣島に屋外大量培養施設を持つユーグレナの研究開発本保の嵐田亮主任研究員が「藻類の新しい利活用 沖縄でのユーグレナによる二酸化炭素固定化」の演題で発表した。
嵐田氏は、二酸化炭素を吸収し様々な物質に変える能力をもつユーグレナについて、「二酸化炭素40%の高濃度の環境でも生育する。火力発電所の排気ガスを使って生育が可能」とし、沖電の金武火力発電所の煙突とユーグレナ培養器(500リットル)をつなぎ、排出ガスを使って生育可能か確認すると説明。その上で「生育可能であれば、二酸化炭素の削減能力の見積もりも算出し、具体的なビジネスを展開したい」と述べた。
嵐田氏は、大量の藻類が生産されるため、燃料や飼料への転換が必要になることなどが課題と指摘した。実証実験では日進(西原町)や琉球大学産学官連携推進機構が連携する。
セミナーでは経済産業省産業技術環境局大臣官房参事官の藤原豊氏が、二酸化炭素の排出量取引や国内クレジット制度の概要について説明した。
週刊ダイヤモンド 2009/04/18より転載
研究開発が進むエネルギーに関する技術は、次の二つに大別できる。従来とは別の新しいエネルギー源を開発する技術、エネルギーを効率的に運用する技術だ。
新しいエネルギー源といえば太陽光や風力がすぐに浮かぶかもしれないが、実際に世界各国で普及に向けた動きが急加速している。
ここで紹介するのは、さらに〝次〟の新エネルギー源の有力候補。藻を利用したバイオ燃料やマグネシウムを利用する方法がそれに当たる。トウモロコシなどを利用した従来のバイオ燃料は、食料不足や森林伐採を招くなど多くの問題点をはらんでいたが、藻を利用すればそうした心配はいらない。
CO2からバイオ燃料を作る夢の生物
CO2吸収微生物
ユーグレナの活用例
火力発電所が排出するCO2→単細胞生物・ユーグレナは、CO2を効率よく吸収して成長 CO2を溶かした屋外プールで大量培養→バイオ燃料の原料、栄養食品として利用可能に
ここが凄い!
動物と植物の中間的生物であるユーグレナは、藻類のなかでは群を抜いてCO2吸収量が高く、CO2濃度が高いほど成長する特徴がある。食品としての屋外大量培養に世界で初めて成功したことで、商業利用の道が開けた。培養したユーグレナは健康食品だけでなく、バイオ燃料の原料にもなる。
実用化への見通し・課題
現在、沖縄県・石垣島で培養しているユーグレナは健康補助食品として販売されている。2011年度中にも火力発電所に併設した実証プランとを建設する予定。発電所から発生するCO2を培養槽に取り込んで育成をスピードアップさせる。当然、バイオ燃料の有力な原料になると考えられている。
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